8月 奈良の都に献上された紫色のニクい奴!・・・「処暑」のナス

世界では1000種を超える、順応力抜群の夏の主役。

Q:暦の「処暑」を迎えると夏の果菜の主役ナスが店頭に沢山並びます。いろいろな形のものが出てきますがどのくらいの種類がある野菜なのですか?

内田―――世界では1000種を超えると言われてますが日本の中だけでも200種類を超える仲間を持つ、子孫繁栄にとても長けた野菜です。

内田―――インド東部にルーツを持つと言われ、中国を経由して奈良時代に日本に渡来しました。その後日本各地に広まっていき、時代やたどり着いた場所の気候風土の中で姿形を変化させながら現在まで生き延びてきたのです。今日では地域に根付いた在来種として伝統野菜の名のもとに希少価値を持つものが多数あります。

内田―――新潟県の一部の地区だけで栽培される「ヤキナス」、山形県鶴岡市の主に漬物に利用される「民田(みんでん)ナス」やおきたま置賜地域の「薄皮丸ナス」、長野県小布施で栽培される巾着型の「小布施ナス」や天龍村の巨大米ナス「ていざなす」、京都の大型丸ナス「賀茂ナス」…ここでは名を挙げきれない多数の子孫たちが、地域を代表するかけがえのない存在となっているのです。

紫色の力持ちが夏の身体を助けてくれる。

Q:色の世界に「茄子紺(なすこん)」というナスの名が冠についた紫色系の日本の伝統色がありますが、ナスの代名詞にもなっている紫色というのは何か役割があるのでしょうか?

内田―――ナスの紫色はナスニンという色素です。これは赤、青、紫などの色を出すアントシアニン色素の一種であり、多くの植物の色素、苦みなどを形成するポリフェノールという植物成分の一部なのです。アントシアニン色素というのはブルーベリー、ブドウ、紫芋、赤キャベツ、赤紫蘇などの果実や野菜類のほか、秋になると見かける樹木の紅葉の赤い色もその一つ。日常のいろいろなところに存在する色素です。

内田―――ポリフェノールは植物が紫外線から自身の身を守るために創り出す抗酸化作用を持った成分であるということはご存じの方も多いかと思いますが、ナスは子孫を残すためにナスニンで実を紫色に染めることで紫外線から種子を守っているのです。

Q:するとナスは私たちの身体にも貢献してくれる野菜なのですね?

内田―――ナスは93パーセントが水分というカロリーが非常に低い野菜ですからダイエット食としても重宝されています。そして前述の通りポリフェノールの一部であるナスニンは抗酸化作用を持ち、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化や肌の老化の予防の他、その活性酸素除去力の強さが抗ガンにも効果がある、と言われています。また実の食物繊維は腸内環境を整え、豊富に含まれているカリウムは余分なナトリウム(塩分)を体外へ排出してくれるので高血圧、身体のむくみなどの予防にも効果的です。身体を冷やしてくれるので我々の腸内環境が喜びます。サプリメントなどに頼らずに自然の恵みで身体を整えることができる、というのはとても良いことですね。

Q:どのような料理がお勧めですか。

内田―――真夏に収穫する旬の走りのナスはとても皮が薄く身が柔らかいので、まずは縦切りにして塩を振りそのまま食べてみてください。オリーブオイルを加えても美味しいです。ナスそのものの味を堪能することができます。

内田―――そして油ととても相性が良いですから炒めたり揚げたりする料理はお勧めです。揚げる場合には低い温度だとべたべたしてしまうので、170度から175度くらいの高めの温度で一気に水分を飛ばすと美味しく食べることができます。

内田―――また、ナスには緑色の青ナスや淡い緑色から白っぽい白ナスと呼ばれる種類のものがあり、たまに店頭で見かけることがあります。紫色のナスに比べ皮がやや固めですが加熱すると身がとろとろになりとても美味です。料理方法を変えながらいろいろなナスを楽しんでもらえればと思います。

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