9月 梢や落ち葉の陰でかくれんぼ・・・「秋分」のキノコ

様々な種類の香りを身に纏い、優雅な宴を演出してくれます。

Q:秋と言えば焼きものや蒸しものなどで味覚だけではなく、香りを存分に堪能できるキノコのお話をしないわけにはいきませんね。

内田―――少しお堅い話からはいりますが、キノコは野菜類や果樹類と同じように独自の立ち位置をもっていて、農水省では「キノコ類」という分類をされています。野菜売り場に並ぶので野菜の一種と思われがちですが植物ではなく、酵母やカビが属している「菌類」の仲間なのです。日本国内だけでも数千種類あると言われており、その中で食用にできることが確認されているのは100種に満たないそうです。今では私たちが身近に買い求めることができる食用キノコのほとんどが室内管理された菌床栽培という方法で育てられたものですので一年中店頭に並んでいます。ですから現在キノコには旬という概念はなくなってしまっているのですが、いまだに栽培が成功しないマツタケをはじめとした希少な食用キノコ、野生のシメジ、伐採した木に種菌を植え付けて育てられる原木露地栽培のシイタケなど、自然環境の中で育つキノコの多くが秋から冬にかけて旬を迎えるのです。私の故郷は北海道で、住まいの近くの山で本当にたくさんの天然キノコを採って食べていました。

内田―――私たちが日常お店で見かけるキノコにもいろいろな種類がありますが、それぞれ香りや食感が独特で飽きさせません。マツタケ、シイタケ、ヒラタケなどは蒸したり、そのまま焼いたり、ソテーにしたり、簡単な調理法でそれぞれの香りと食感を存分に楽しめます。エノキダケはさっと炒めたり鍋でたりするだけでシャキシャキとした気持ちの良い食感を味わえます。中華料理や麺類で利用されるキクラゲもコリコリとした独特の歯ごたえで人気の具材の一つとして重宝されています。

内田―――ご家庭で、飲食店で、是非いろいろなキノコを使った料理にチャレンジしてみてください。味わいは無限です。

シイタケの春子、夏子、秋子、冬子って誰??

Q:シイタケは年に4回採れると、内田さんからお聞きしたことがありますね。

内田―――シイタケは自然環境の中で育てると基本は春と秋の2回、大きな収穫時期を迎えます。そして勿論収穫量は春秋に比べて少なくはなるのですが、環境や管理の仕方により夏や冬にも収穫することができます。シイタケは自然環境の中でも一年を通じて成長しているキノコなのです。

内田―――皆さんはシイタケに季節ごとに可愛い呼び名があるのをご存じですか?3月~5月頃収穫されるものが「春子」、5月~6月の藤の花が咲く頃収穫されるものが「夏子」や「藤子(ふじこ)」、9月~11月頃収穫されるものが「秋子」、12月~1月頃の厳寒期に収穫されるものが「冬子」や「寒子(かんこ)」と呼ばれています。

内田―――私のお勧めは春子です。春子は幼少期に極寒の冬を耐え春先に一気に芽吹きます。寒さから身を守るために傘を厚く構え、香ばしさと濃厚な旨味を備えています。夏子、冬子は収穫量が少なくあまり店頭には並びません。秋子は生産量が一番多く、香り高く他の秋冬野菜と相性が良いので、寒くなる時期の鍋物には欠かせない存在となっています。

Q:店頭で売られている良いキノコの選び方は?

内田―――どのキノコにも共通して言えるのが傘の表面が乾いていて、傘の裏側のヒダや茎の部分が黒ずんでいないもの、が新鮮の証ということです。しっとり感があったり黒ずんだりしているものは収穫後時間が経って鮮度が落ちています。

内田―――さらにシイタケの場合は傘に厚みがあって傷がなく開ききっていないもの。そして重量感があるものを選んでください。エノキの場合は真っ白で傘が閉じていることが大切です。鮮度が落ちると黄色味を帯びたり茎に水っぽく透明になっている部分が出てきます。マイタケの場合は傘の表面が濃い茶色を保ち、茎の切り口が黒ずんでいないものが鮮度が落ちていない証拠です。

内田―――これらのポイントを押さえて良いキノコを選び、食物繊維で腸内環境を整えていきましょう。

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