11月 冬の足音がすぐそこに聞こえる・・・「小雪」の里芋

素敵な出汁文化が、優しく美味な里芋煮を創り出す。

Q:11月中旬の暦、「小雪」になるとさらに根菜が美味しくなってきますね。

内田―――「小雪」のころ、里芋が旬になります。里芋は関東だと千葉県や埼玉県、関西だと和歌山県、九州だと宮崎県や鹿児島県というように、私の故郷北海道以外全国的に広く栽培されています。

内田―――2000年以上前に中国から渡ってきたと言われる里芋は日本全国へと広がりながら各地の風土に適合しそこに住む人々と共生してきました。ですから里芋の種類や、調理法は地域ごとに特性があります。

内田―――例えば長い間都として繁栄した京都では里芋の煮物が発展しました。ここでは関西の出汁(だし)文化の中で里芋が活きたわけです。

Q:関西の出汁文化についてお話しいただけますか。

内田―――関西の玄関口である大阪、神戸の周辺には魚影が豊富な海が広がっています。この海域では高知県や和歌山県に代表される鰹漁が盛んで、鰹節などの加工品も含めた沢山の鰹が港に入ってきました。これを出汁に利用していくのです。

内田―――そして水。神奈川県を中心に山梨県、静岡県の3県をまたぐ丹沢山地という山地があります。日本はここを中心として西側に豊富に湧く水が軟水なのですが、軟水は特に煮物に適しているのです。この魚介の出汁と軟水の融合で出汁文化が育まれ煮物の発展につながったのです。

内田―――鰹などの魚介類や昆布をベースにした日本の出汁は優しい味わいですよね。里芋の煮物を作る際、水から炊くか、出汁から炊くか、で大きく味わいが変わります。

Q:ちなみに内田さんが学ばれたフレンチの世界では出汁の概念はあるのでしょうか。

内田―――あります。ボライユをご存じでしょうか。

内田―――鶏ガラと牛骨、そしてそこにたっぷり野菜を加え煮込みます。1日~2日かけることもあります。これは魚介や昆布からとる日本の優しいものとは違い濃厚な出汁となります。これがフランス料理の出汁、ボライユです。

Q:里芋はお店に行くと袋詰めで売られていますが、おいしい里芋の見極め方はありますか。

内田―――里芋は大きさで味は変わりません。同じ大きさのものを比較したときに、ずっしりと重みがあり、縞模様の数が多いものが生育の良い証です。

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