まとめ
「旬」の見極め方、おさらい
本野菜塾のお話は、これまで私が日本を回り、考えを整理してきた「旬」の野菜の選び方、扱い方、その総集編といった内容になっています。それぞれの野菜の調理の仕方は、各稿参照して頂くとして、私流野菜の「旬」の見極め方を最後にもう一度まとめておきますね。
まず、野菜というのは、そもそも生まれたルーツの地域の環境にとても影響されています。日本に生育する自然野菜は、概ね地中海付近が原産地のものか、南米アンデス山脈周辺が原産地のものかで大別でき、これを理解しておきましょう。それぞれの野菜が原産地の環境と似た環境になるのは、日本ではいつのどこかということを読むのが鍵の一つ目。
日本は南北縦に長い国土です。収穫期の始まりは、鹿児島、佐賀から始まります。鹿児島、佐賀を西の始まりとして、収穫期前線は次第に北上していきます。
南から北(西から東)に向かって、同じ野菜も「旬」が移動することを頭においておきましょう。
そして、これらを覚えるために、実は日本の「暦」がとても良くできていて参考になります。「暦」は日本の自然の移ろいを示し記されています。それぞれ野菜の「旬」は、日本の「暦」にある自然の流れにあてはめて覚えておくとよいでしょう。そもそも「暦」は、自然の様子を月日に当てはめたものです。
野菜の楽しみ方に、「旬」を捉えることは大事なことですが、「旬」の頂点ばかりを注目せず、「走り」「旬」「名残」という生育の中で、「旬」を軸に3つの時期があることを覚えておきましょう。それぞれに美味しい付き合い方、楽しみ方があります。素材を活かす調理とは、これを理解して行うことだと私は思っています。
最後に、本編では大きくは触れていませんが、私がもう一つ気が付いていることがあります。それについてお話しておきましょう。それは、日本が島国であり、周囲を大きな海流が流れていることが日本人の食生活には大きな影響を与えてきたということです。太平洋側に、北から千島海流(親潮)、南から日本海流(黒潮)、日本海側に、北からリマン海流、南から対馬海流です。これらによって導かれてきた海産物が、日本の各地域で特産物として知られていますが、これら海の特産物たちが、それぞれの地域の料理に影響を与え、また、その料理がその地域で生育する自然野菜の使われ方にも影響を与えてきた、ということです。海産物が影響を与えてきた料理には、その料理ならではの野菜たちの使われ方が産まれ、それによって、より野菜たちの「走り」「旬」「名残」の使いどころを吟味されてきました。ここが、日本の料理たちの、もうひとつ注目してよいおもしろさなのだと思います。生鮮な食材を多彩に使い倒して作られてきた日本の料理ならではの醍醐味がここにあるのではないか、と私は思っています。