1月 雪や霜を喜んで・・・「大寒」のネギ

マイナス30℃に育つ祖先のDNAが真冬の日本で開化する。

Q:極寒の季節に旬を迎えるネギとはもともとどのような野菜なのですか?

内田―――ネギのルーツをご存じでしょうか。最も寒い時期になぜ旬を迎えるのか、をお話しするとき、やはりネギの生まれ故郷に思いを馳せます。ネギは中国北西部やシベリアを原産地とする野菜です。真冬にはマイナス30℃にもなる正に極寒の地で、ネギの祖先は「凍るまい!」とどんどん葉を巻いて、糖度を上げて身を守ってきました。その環境の中で生き残ったものたちがネギとなったと言われています。

内田―――ですから、少しずつ寒さを感じるようになる「立冬」あたりから“走り”と言われる食べ始めの時期となり、「大寒」から「立春」の声を聞く最も寒い時期に旬を迎えて美味しくなるのです。ネギは夏にも収穫できますが冬のネギほど柔らかくなく甘みも控えめです。寒さから身を守るために強く太く葉を巻き、凍るまいと糖度を上げた冬のネギの甘さは冬の葉野菜の代表格ということができます。

え、ネギって上から下まで全部葉っぱなんだ。

Q:ネギは白い茎のところを食べるものと緑の葉の部分を食べるものに分かれますよね。

内田―――ネギは白い部分が茎で緑の部分が葉と思われがちですが、実はどちらも葉なのです。茎は根の上部にわずかだけあり、その上の白く長く伸びる部分を「葉鞘(ようしょう)」、緑の部分を「葉身(ようしん)」と呼びます。根以外は捨てるところなく全て食べられるのですが、我々が食べる部分の育ち方によって種類は大きく二つに分かれます。葉鞘部分が長く育つ「根深ネギ」と葉身部分がいくつにも分かれて成長する「葉ネギ」です。根深ネギは白ネギ、長ネギ、太ネギとも呼ばれ主に関東以北で栽培されています。

内田―――緯度が高くなると冬の寒さが増します。寒い地域では冬、根菜類を中心に土の中で育つ野菜 “潜り野菜” が旬を迎えますが、葉菜である根深ネギも潜り野菜のひとつで、葉鞘を土の中で伸ばしながら成長するために、畑では伸びた部分に高く土寄せして埋めてあげながら、より長く太く成長するように栽培します。群馬県の下仁田ネギ、埼玉県の深谷ネギなどが良く知られていますが、そのほか千葉県、茨城県、青森県、北海道というようにとても広い地域に適応し根付いています。

内田―――葉ネギは青ネギとも呼ばれ、関西以西で広く栽培されています。根深ネギと異なるのは根元からすぐ上の部分で葉身がいくつにも別れて育つということ。葉鞘を伸ばしたり太らせたりする必要がないので土寄せなどはせずに栽培し、長く伸びた葉身を食します。また、種まきから3か月程度という短い期間で収穫ができる大きさに成長するということと、夏の暑さに適応できることから夏と冬の2度旬を迎えるという特徴があります。京都の九条ネギが特に有名ですが、関西を中心に四国、九州などでも多く栽培されています。

内田―――関西以西ではネギというと「葉ネギ」を指し根深ネギを料理にめったに使わない、というのは日本の国土でのネギの適応能力の現れということができるのではないでしょうか。

Q: 次は長ネギについてお聞きしますが、八百屋さんで買うときにどのようなものを選ぶと良いのでしょう?

内田―――まずは葉鞘と葉身の境目の軸の部分が太くてしっかりしたものがお勧めです。葉を十分に巻いて糖度を上げている証拠なのです。そして葉鞘の表面にある縦の線がたくさんあるものを見つけてください。この線の多さはひげ根の数に比例しているのです。ひげ根が多いということは根が栄養分を探して地中に向かって元気に潜っていっている証明です。加えて他の葉菜でお話したようにやはりなるべく葉身が淡い緑のものを選びましょう。淡い緑が美味しい葉菜の基本です。

Q:内田さんお勧めの簡単な長ネギ料理を教えていただけますか。

内田―――シンプルな焼きネギが絶妙だと思います。斜切りにした長ネギに片栗粉を付けてから塩を少量振り、ごま油を敷いたフライパンで強火で焼きます。ネギの水分でとろみが出てきたところにショウガスライスを入れて、更にお酢1、みりん2、味噌1を加えて炒めます。ネギと味噌の相性の良さを存分に味わえるお料理です。

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