3月 日本の風土に育まれてタケノコ前線上昇開始!・・・「春分」のタケノコ
実は真冬から収穫が始まってる、って知ってますか?
Q:春分の頃になるとタケノコが店頭に並び始めますね。タケノコとはそもそもどのような野菜なのでしょう?
内田―――タケノコ(筍)は竹の地下茎から発芽した芽の部分です。日本には100種類以上の竹がある、と言われていて、平安時代の『竹取物語』に登場したり、生活の道具や建築に利用されたりと、古来から生活文化の中にとけこんできました。近年我々がタケノコとして食べているのは主に孟宗竹(モウソウチク)という種類の竹の芽で、この竹は江戸時代に中国から渡ってきた、と言われています。現在では北海道から南西諸島まで日本全国に分布しているので、地域ごとに旬の時期に店頭を賑わせていきます。
内田―――ブロッコリーの稿で「春に芽を吹く芽吹き野菜」についてお話ししましたが、春の声を聞くと地中からぐんぐん伸びてくるタケノコは正にその一つです。日本は南北に長い地形ですから、日本一生産量の多い福岡県をはじめ温暖な九州各県で3月頃から旬を迎え、桜前線ならぬ“タケノコ前線”となって徐々に北上していきます。
内田―――余談ですが最初に収穫期を迎える九州地方では「早堀り」といって地表に芽を出す“走り”よりも前のタケノコを地中から掘り出し10月中旬ごろから出荷し始めます。そこから考えてみると、タケノコというのは秋深まる頃から翌年の初夏くらいまでという長い期間、全国を通じて私たちを楽しませてくれる野菜であるということ、そして暖かいところから涼しいところへと旬が移ってゆく南北に縦に広がる日本の地形ならではの有難さに改めて気づくことができますね。
内田―――関東近県ではやはり比較的温暖な千葉県、静岡県あたりから3月頃“走り”が始まり、4月から5月にかけて旬を迎えることとなります。
Q:孟宗竹以外のタケノコにはどのようなものがあるのでしょうか。
内田―――大きくてずっしりと重みがあり灰汁(あく)が少ない孟宗竹が食用の一番人気なのですが、孟宗竹の旬が終わる頃からやや細めの淡竹(ハチク)、真竹(マダケ)などのタケノコも一部で見ることができます。そのほか、北海道や東北地方に生息し、姫竹(ひめたけ)、五山竹(ごさんちく)など地域によって呼び名が変わる細身の千島笹(ちしまざさ)のタケノコもこの頃旬を迎えます。
内田―――市場では瓶詰に加工されたものをよく見かけますが、簡単にポキッと折って収穫ができることから山菜としてとても人気があり、採りたてのものは灰汁が非常に少なくそのまま煮たり焼いたり揚げたりして調理することができるので、料理人にもとても重宝される食材です。
これらは日本の在来種と言われている竹です。
Q:良いタケノコの選び方を教えていただけますか。
内田―――まず皮に艶と湿り気があって先が黄色くて開いていないものを選びます。穂先に緑色の葉が見えているものは成長して陽が当たりエグミを増して固くなっています。そして持ち上げてみてずっしりと重く、裏側の切り口を見たときに黒ずんでいないものが、程よく成長し栄養分を蓄えた新鮮なものである証拠です。このようなタケノコを是非目利きしてみてください。